何にでも興味を持ち、野次馬根性とあつかましさを発揮する私は「すみません、旅行中の日本人です。今あなたが買ってきたその傘はいくらだったのですか?」と聞いて見ました。
見ず知らず同士なのにこんな質問をいきなりされて、日本人ならどう反応するでしょうか。
「変なやつだな、答える必要ないよ」と思う人がほとんどでしょうが、北京の地下道でのその男性の反応は違っていました。
「よく聞いてくれたよ。こんなちゃちな傘が1本1元(約160円)だよ、まったく馬鹿にしているよ。日本人だって?日本だといくらで買えるんだ?」とまあこんな調子で親しく不満を語りかけてきます。まるでずっと知り合いだったよう雰囲気です。
「日本だと最低でも500円、その傘だと700〜800円かな?」と答えると、「ほんとー?そんなに高いの、でも日本人は皆金持ちだからそれでいいんだよ、俺の収入ではこれは高すぎる。」と言います。
そうなんです、まだまだ平均的な収入がだいたい日本人の四分の一ぐらい、農村からの出稼ぎ者だと事情はもっと厳しいので、1本160円の傘は私たちの感覚では考えられないほど高価なものなのでしょう。
地下道の突き当たりがTの字になっていて、そこで私たちは左右に分かれます。「さようなら、元気でね。」、「中国を好きになってね。」私たちはそう言いあって笑顔で両方の階段へ別れました。
(第18回 北京雑記帳その二 おわり)
次回は私の大好きな場所、ペット市場へ出かけた時のお話です。
引き続きご愛読のほどよろしくお願いします。
花鳥市場へ続きます。
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