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今回は少し趣向を変えて、「どこに行って何をした」式の旅行記をちょっとお休みして、わずか13日と短い期間でしたが、その間に見聞きし、体験し、感じたことを毎日書きとめておいた雑記張からそのいくつかを雑感として書いてみたいと思います。
私たちが滞在していたホテルから5、6分歩いたところに、コンビニ、それも日本のセブンイレブンがあったので、今回の旅行ではずいぶんと助かりました。コンビニエンス・ストアは中国語でも「方便(べんり)商店」と言いますが、私たちのような貧乏旅行者にとっては文字通り便利な存在でした。
なにも中国まで行ってセブンイレブンを利用しなくても、と思う部分は確かにありますが、やはりコンビニは便利です。なおかつ、日本から出店しているコンビニだと売っている商品も安心できますから、一日おきぐらいに行って、翌朝に食べるパンやジュース、牛乳、またホテルの部屋でゆっくりとくつろぎたい時に飲むビールや酒を買いました。
さて、問題はその酒です。中国のビールは有名な青島ビール(アルコール度数4.5%)はもちろん、地元北京でもっともポピュラーな燕京ビール(3.7%)も美味しいので、街なかで食事をする時にはよく飲みました。ただ寝る前にあまり水分を取ると、昨今の私は夜中に忙しいことになるので、なにかビールではない酒の種類を飲みたいな、と言うことになります。
そう思ってセブンイレブンで酒コーナーを見てみたところ、これが嬉しいことにいろいろと置いてあるのです。中国の白酒(ばいちゅう)や黄酒(ほあんちゅう)各種はもちろんワイン各種までたくさんあります。さらに、日本酒党の私には嬉しいことに、以前から知っていた奈良県大和郡山市に本社がある中谷酒造が、中国・天津市に進出して苦労の末、今では中国国内に一定の地位を確立した日本酒「朝香(あさか)」の吟醸酒4合瓶もあります。松竹梅の2合徳利もあります。日本の焼酎も各種あります。
しかし考えてみると、中谷酒造さんには悪いけど、北京に来てまで日本の酒を飲むのもちょっと癪な気もします。だからと言って、中国の焼酎である白酒(ばいちゅう)は、軒並み度数が40度以上なので、飲みなれない私にはちょっと怖い気がします。
そこで私が選んだのは、同じ棚に並んで置かれていた韓国の焼酎「チャミスル」です。度数も20度と表示されているので安心な気もします。この際、「遊び心で北京でチャミスル飲んでみよっーと」と言うわけで300CC入りの瓶1本17元、約270円を買ってホテルに帰りました。これを部屋の冷蔵庫で冷やしておいて翌晩飲んでみたところ、少し甘みがあって口当たりとノド越しが良く「これ、いけるよー」って感じになりまして、その後またまた買ってきて楽しみました。北京の夜に飲む韓国の酒「チャミスル」、気持ちの良い飲み心地も手伝って、今自分がとても国際的な空間の中に漂っているような不思議な感覚の酔いに浸ったしだいです。
後日談ですが帰国後、あの北京で飲んだチャミスルの味が忘れられず、早速近所の酒スーパーに行ってみたところ、同じメーカー(真露・ジンロ)の焼酎の隣に700ミリリットルの瓶でちゃんと販売されていました。値段も800円ぐらいで手ごろです、他のスーパーにも置いてありました。元来が日本酒党の私ですが、おかげでと言うべきか、幸いと言うべきか、現在では北京で覚えた韓国の酒・チャミスルがレパートリーに加わり、アルコールライフに彩りが広がることとなりました。
私たちは結局北京に12泊13日滞在したわけですが、この間に面白いと言うか、不思議なことに気がつきました。それは北京では救急車を一度も見ることが、そしてあのサイレンを一度も聞いたことがなかったと言うことです。もちろんそういった制度はちゃんとあるはずですし、映画で救急車のシーンを見たこともあります。でもここ北京だけでなく、そう言えば上海でも救急車はあまり見かけなかったですね。
今、日本では、救急車だとタダで病院に連れて行ってくれる、などと簡単でわがままな理由から救急車をタダのタクシー代わりに呼ぶ不届きな連中が増えて、本当に必要な人が呼んだ時に搬送が遅れる事態もあるとか。
私の自宅付近も幹線道路があるので救急車のサイレンを聞かない日はありません。
でもピーポ、ピーポのサイレンがまったく聞こえない北京の街はなんだか不思議で不気味です。人口密度が高い北京の街でその必要性はむしろ高いはずなのですが、制度上なかなか呼びにくい何かがあると言うことでしょう。
北京は、王朝が続いた長い歴史と、高度な文化が育った世界でも稀有な町です。一つの町に世界遺産が六つもある一大観光都市でもあります。ですから日本はもちろん、世界中から、また中国中から観光客がやってきます。
今回は旅行記の中休みをさせていただき、旅の間の雑感をいくつか書きました。次からまた旅行記に戻りたいと思います。
(第11回 終わり)
三つの宗教寺院その1へ続きます。
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