北京旅行記の第2回目です。

いよいよ旅行そのものの話に入らせていただきます。
前回第1回は「はじめに」と題して、私のこだわりはなぜ中国なのか、と言うことについて書きました。
今日からはいよいよ出発した初日からの、旅のスケジュールに沿って体験記を書きはじめるわけですが、その前に少しだけ、なぜ最後になるかもしれない中国旅行に北京を選んだのかについてお話しておきたいと思います。

現在の北京は、日本の26倍もの面積がある中国の中で、政治の中枢都市であり、およそ1000年もの長きに亘って、いくつもの王朝支配が存在した悠久の歴史がある古都でもあります。。
金王朝に続いて700年前には元王朝、その後明の王朝が250年続いたあと、中国最後の王朝となる清王朝が長く続きましたが、20世紀初頭になってイギリスはじめフランス、アメリカ、ロシアなど西洋列強諸国、そして日本などの先進的な軍事力を背景とした圧力によって封建的な王朝国家は崩壊を迎えました。
しかし、その後も北京は政治の中心であり続け、1949年に現在の共産主義中国建国後は首都としての存在感をますます強め、とうとう来年にはオリンピックを開催するまでになっています。
1000年もの間首都であり続けた結果、北京には華やかな文化が育ち続け、多くの歴史的文化遺産があります。中国全土で登録済みの世界遺産は33ありますが、そのうち北京には六つの世界遺産があります。
皆さんもご存知の通り、上海も中国を代表する世界的大都市で、私もその魅力に惹かれて今まで6回も旅行しました。
しかし、上海はアヘン戦争以後西洋諸国、つまり他国の力によって急速に都市化が進ませられたわけで、その都市としての歴史はせいぜい180年ほどに過ぎません。まして首都であったことは一度もない街です。
その点、北京は歴代王朝の、限りなく華麗で、途方もなく豪華、巨大でそれでいて精緻な歴史遺産と市民文化が色濃く、数多く残る街であり、一方では急速な近代化が進む最先端の都市文化の両極端が共存する街なのです。ゆっくりと時間をかけて見たいところが目白押しに、あまりにもたくさんある街であるわけです。

中国国際航空ボーイング737−300の写真 そんな訳で、私は今回が最後になるかも知れない中国旅行の目的地を躊躇なく北京に決め、一年以上も予備知識を仕入れるための勉強を続けて旅に備えました。
そして、いよいよ2007年5月11日12時50分、福岡国際空港発の中国国際航空CA914便、ボーイング737−300型機に搭乗し、北京に向けて出発したのでした。
往復航空券は格安なものを探しました。
福岡離陸後、フライト時間2時間30分あまり後、現地時間マイナス1時間の午後3時過ぎ、ほぼ定刻に北京首都国際空港に無事到着。
入国手続きを終えて空港の玄関の外に出ました。私自身は2度目の北京の空は霧にすっぽりと覆われていたのが印象的でした。

タクシーで約1時間、料金130元(約2000円)で、前もって北京の知人に頼んで予約してもらっていた、天安門のまっすぐ南一キロほど、とても交通の便がいいホテルにチェックインするところまでは順調でした。
さあ、着いたぞー。これから正味11日間の北京旅行を楽しむぞーっ、と張り切ったとたん、早くも最初のトラブル発生!
 じつは私たちの旅行では、滞在するホテルの支払いはすべてクレジット・カードですることになっていました。現金を多く持ち歩きたくないからです。
このホテルもカード払いが間違いなくできると言うことで予約していたのに、チェックインの書類に記入のあと確認すると、フロント嬢が「外国のカードはダメ!」と冷たく言い放つではないですか。
えーっ、そんなー。話が違うではないか、と食い下がるのは中国では逆効果。どうしてこんなに無表情をつらぬけるのー、と言う顔でフロント嬢はますますけんもほろろにダメ、ダメ、カードダメ。現金しか支払いできない、を繰り返します。
もちろんこうした交渉は中国語ですからはじめからこちらが引き下がる結論は出ています。
とりあえず今晩一晩だけとめて頂戴、明日以降は別のところに引っ越すから・・・。そう言ってともかくも部屋に落ち着きました。

でも、今回はとてもよい人が私たちの見方となってくれました。このホテルの予約も手伝ってくれた、福岡市在住で現在の中国語の先生の、北京市内に住むお父さん、韓博明さんがやがてホテルに訪ねてきてくれ、窮状を説明するとその晩のうちに別の、それも地下鉄やバスの便がよくて間違いなくカードでの支払いオーケーなホテルを見つけてくれました。
ほっとした私たちはその晩はホテル付近を散歩し、サラリーマン風の若い人たちで賑わう庶民的なレストランを見つけて夕食をすませました。ここの名物は、カラをむいた、なまピーナツの煮たもの、イスラム風の羊肉や海鮮の串焼きのようです。ピーナツは渋皮がついていますが、まったく気にならずさっぱりした味で癖になりそうなほどでした。
ほかにも一通りの料理はあります。ほどほどに注文した料理も美味しくて値段も庶民的で満足しながら店を出ました。
 北京の夜空は思いのほかきれいに澄んでいて、レストランからホテルへ帰る道で見上げると、予想外に星がキラキラと輝いているではありませんか。ホテル問題がなんとかクリアできたことも手伝って気持ちよく夜風に吹かれながら歩いて帰りました。
いよいよ明日からの本格的な北京での日々に備えるため、私たちは早めにベッドに横になったのでした。  私たちの部屋は通りに面した2階、このホテルはバスのターミナルや地下鉄の駅もすぐそばにある交通の要所にありました。窓の外にはいつまでも人が行き来する音が聞こえたのですが、北京初日の夜は疲れもあって早々と眠りに入ることができました。翌日以後北京の乾燥した空気が私たちを苦しめることになるなどまるで想像もしないで・・・。

北京最初の夜の夕食の写真

(第2回・終わり)

天壇公園その1へ続きます。
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最初のベンチへ戻ります。

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